「屋根の寿命ってどれくらいなんだろう」
「いつメンテナンスすればいいのか分からない」
「突然の雨漏りで高額な修理費がかかるのは避けたい」
このような不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
屋根の耐用年数は、使われている屋根材によって大きく異なります。10年程度で寿命を迎えるものもあれば、100年近く持つものまで様々です。適切な時期にメンテナンスを行うことで、突然の雨漏りや高額な修理費用を避けることができるでしょう。
この記事では、屋根材ごとの耐用年数から、寿命が近づいているサイン、メンテナンス方法まで詳しく解説します。
ご自宅の屋根に合った管理方法を知ることで、計画的なメンテナンスが可能となり、建物を長持ちさせることができますよ。
屋根の耐用年数とは?
屋根の耐用年数とは、屋根が本来の性能を維持できる期間を指します。以下の3つのポイントを理解しておきましょう。
耐用年数は屋根が良い状態を保てる期間のこと
屋根材・防水シート・野地板それぞれに耐用年数がある
耐用年数とメンテナンス周期の違い
耐用年数を正しく把握することで、適切なタイミングでメンテナンスを行えるようになります。
耐用年数は屋根が良い状態を保てる期間のこと
耐用年数とは、屋根が雨漏りや腐食などのトラブルを起こさず、建物を守る機能を維持できる期間のことです。
食品の賞味期限と同じように考えると分かりやすいでしょう。期間を過ぎても即座に問題が起きるわけではありませんが、劣化が進んで本来の性能が発揮できなくなります。
屋根材・防水シート・野地板それぞれに耐用年数がある
屋根は表面の屋根材だけでなく、その下にある防水シート(ルーフィング)や野地板も重要な役割を果たしています。
それぞれの部材に異なる耐用年数があり、防水シートと野地板は一般的に20〜30年程度です。屋根材だけでなく、下地材の劣化にも注意が必要ですよ。
耐用年数とメンテナンス周期の違い
耐用年数と混同されやすいのがメンテナンス周期です。
耐用年数が屋根材自体の寿命を示すのに対し、メンテナンス周期は塗装や部分補修を行うべき間隔を指します。定期的なメンテナンスを行うことで、耐用年数を最大限に延ばすことができるでしょう。
屋根材別の耐用年数
屋根材の種類によって耐用年数は大きく異なります。
以下の7種類について、それぞれの特徴と耐用年数を見ていきましょう。
・日本瓦(釉薬瓦・いぶし瓦):50〜100年
・ガルバリウム鋼板:30〜40年
・スレート(コロニアル・カラーベスト):20〜30年
・セメント瓦:30〜40年
・ステンレス:40〜50年
・トタン:10〜20年
・アスファルトシングル:20〜30年
ご自宅の屋根材を確認して、適切なメンテナンス計画を立てることが大切です。
日本瓦(釉薬瓦・いぶし瓦):50〜100年
日本瓦は粘土を焼いて作られる伝統的な屋根材で、最も耐久性に優れています。
釉薬を塗って焼いた釉薬瓦は50〜100年、釉薬を塗らずに燻したいぶし瓦は30〜50年の耐用年数があります。
瓦自体は半永久的に持ちますが、10年前後で漆喰の補修、30年前後で下地材の交換が必要です。
ガルバリウム鋼板:30〜40年
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛で作られたメッキ鋼板です。
軽量で耐久性が高く、錆びにも強いという特徴があります。耐用年数は30〜40年と長く、15〜20年ごとの屋根塗装でメンテナンスを行えば、長期的なコストパフォーマンスに優れた屋根材と言えるでしょう。
スレート(コロニアル・カラーベスト):20〜30年
スレートはセメントと繊維素材を混ぜて板状に加工した屋根材で、日本の戸建住宅の7割で使用されています。
薄く加工されているため割れやすく、耐用年数は20〜30年程度です。5〜10年ごとの屋根塗装を行うことで、風雨や太陽光からのダメージを防ぎ、寿命を延ばすことができます。
セメント瓦:30〜40年
セメント瓦は、セメント・水・砂を混ぜて高圧プレスで成形した屋根材です。
別名モニエル瓦とも呼ばれ、耐用年数は30〜40年となっています。表面に塗装が施されているため、塗装が剥がれるとヒビ割れや雨漏りにつながります。10〜15年ごとの屋根塗装が必要ですよ。
ステンレス:40〜50年
ステンレスは鉄を主成分としたステンレス合金を原料にした金属製の屋根材です。
導入コストは高いものの、ガルバリウム鋼板よりもさらに耐久性に優れ、錆びにも強いのが特徴。
耐用年数は40〜50年で、基本的にメンテナンスフリーと言われていますが、色褪せが気になる場合は20年前後で屋根塗装を行うとよいでしょう。
トタン:10〜20年
トタンは亜鉛メッキが施された金属製の屋根材で、安価に施工できるのが特徴です。
しかし耐用年数は10〜20年と短く、錆びやすいため5〜10年ごとのこまめなメンテナンスが必要になります。
現在は耐久性の低さから利用数が減少しており、金属屋根ではガルバリウム鋼板が主流となっています。
アスファルトシングル:20〜30年
アスファルトシングルは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させ、石粒をコーティングしたシート状の屋根材です。
北米で広く普及しており、防水性・吸音性・デザイン性に優れています。耐用年数は20〜30年で、約10年ごとに塗装工事が必要です。塗装する際は必ず水性塗料を使用してください。
油性塗料を使うとアスファルトの成分が溶けて耐久性が低下してしまいますよ。
【屋根材別】屋根の寿命が近づいているサイン
屋根の劣化症状は屋根材によって異なります。以下の4つの症状から、寿命のサインを見極めましょう。
・全屋根材共通:雨漏りが発生している
・スレート・セメント瓦:広範囲のヒビ割れ・欠け・コケや藻
・金属屋根:広範囲の錆び・色褪せ・釘の浮き
・瓦屋根:瓦のズレ・割れ・漆喰の剥がれ
これらの症状が見られたら、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
全屋根材共通:雨漏りが発生している
雨漏りは屋根の一部が劣化しているサインです。
広い範囲で雨漏りが発生している場合、屋根の寿命と判断できるでしょう。放置すると建物内部の腐食やカビ、シロアリの発生につながる恐れがあります。
室内に水が垂れてくる前でも、天井にシミができている段階で対処が必要ですよ。
スレート・セメント瓦:広範囲のヒビ割れ・欠け・コケや藻
スレートやセメント瓦は水分を吸いやすく、劣化が進むとヒビ割れや欠け、はがれが発生します。
広い範囲でこれらの症状が見られる場合、屋根の寿命が近づいていると考えてよいでしょう。さらに、コケや藻が広範囲に発生している状態も要注意です。
防水性が低下しているサインですので、早めの対応が求められます。
金属屋根:広範囲の錆び・色褪せ・釘の浮き
ガルバリウム鋼板やトタンなどの金属屋根は、経年劣化により錆びや色褪せが発生します。
部分的な錆びであれば塗装メンテナンスで対応できますが、広範囲に赤錆びが発生している場合は屋根の寿命です。
釘が抜けて浮いている状態も危険なサインですので、見つけたら速やかに業者へ連絡してください。
瓦屋根:瓦のズレ・割れ・漆喰の剥がれ
瓦屋根は耐久性が高いものの、地震や台風などで瓦がズレたり割れたりすることがあります。
広範囲で瓦のズレや割れが見られる場合、葺き替えや葺き直しを検討する時期です。瓦同士を固定している漆喰の剥がれも重要なサインですよね。
漆喰が剥がれると雨水が浸入しやすくなるため、10年前後で補修が必要になります。
屋根の耐用年数を最大限に延ばす3つのメンテナンス方法
定期的なメンテナンスを行うことで、屋根の寿命を延ばすことができます。以下の3つの方法を実践しましょう。
・定期的な目視点検
・屋根材に応じた塗装メンテナンス
・10年ごとの専門業者による点検と部分補修
計画的なメンテナンスにより、突然の高額出費を避けることができるでしょう。
定期的な目視点検
台風や豪雨、地震などの自然災害が発生した際には、必ず屋根の目視点検を行いましょう。
年に数回、地上から屋根を確認することで、異常がない状態を認識できます。目視点検で違和感を感じたら、不具合が発生している可能性がありますので、業者に点検を依頼してください。
高所での作業は危険ですので、無理に屋根に上がらないよう注意が必要です。
屋根材に応じた塗装メンテナンス
スレートやセメント瓦、金属屋根などは定期的な塗装メンテナンスが必要になります。
スレートは5〜10年、セメント瓦は10〜15年、ガルバリウム鋼板は15〜20年の周期で屋根塗装を行うことで、風雨や太陽光からのダメージを防げるでしょう。塗装により防水性や耐久性が高まり、屋根材の経年劣化を遅らせることができますよ。
10年ごとの専門業者による点検と部分補修
自分では確認できない細かな劣化を見つけるため、10年ごとに専門業者による点検を受けましょう。
破損した瓦の差し替え、棟板金の取替え、漆喰の塗り替えなど、10年に1回程度の細かい修繕や補修を行うことで、屋根の寿命を延ばすことにつながります。
部分補修であれば費用も抑えられますので、大規模な工事が必要になる前に対処することが大切です。
耐用年数を過ぎた屋根の工事方法と費用相場
屋根の寿命が来た際には、葺き替え、カバー工法、葺き直しのいずれかの工事が必要です。以下で詳しく見ていきましょう。
・葺き替え工事:100〜240万円
・カバー工法:80〜150万円
・葺き直し(日本瓦のみ):140〜200万円
建物の状態や既存の屋根材に応じて、適切な工事方法を選ぶことが重要です。
葺き替え工事:100〜240万円
葺き替え工事は、古い屋根材を撤去して新しい屋根材とルーフィングに交換する工事方法です。
工事内容 | 費用相場(約100㎡の場合) |
葺き替え工事 | 100〜240万円 |
※上記費用には足場費用は含まれていません
古い屋根材の種類や新しく使用する屋根材によって費用は変動します。すべての屋根材に対応できる工事方法ですので、防水シートや野地板も新しくなり、建物全体の耐久性が向上するでしょう。
カバー工法:80〜150万円
カバー工法は、古い屋根材の上から新しい屋根材とルーフィングを被せる工事方法です。
工事内容 | 費用相場(約100㎡の場合) |
カバー工法 | 80〜150万円 |
※上記費用には足場費用は含まれていません
撤去・廃棄費用が不要なため、葺き替えよりも安く済みます。ただし、瓦屋根や経年劣化が激しい屋根材には施工できません。
将来カバー工法の屋根が寿命を迎えた際は、2重の撤去が必要となり費用が高額になる点に注意が必要ですよ。
葺き直し(日本瓦のみ):140〜200万円
葺き直しは、ルーフィングのみを交換して既存の瓦を再利用する工事方法で、日本瓦屋根のみに可能な工事です。
工事内容 | 費用相場(約100㎡の場合) |
葺き直し | 140〜200万円 |
※上記費用には足場費用は含まれていません
瓦を部分的に外しながらビス留めし直すため、耐震性も向上します。瓦自体の耐久性が高いため、防水シートの交換だけで屋根の機能を回復できる点が大きなメリットと言えるでしょう。
まとめ
屋根の耐用年数は屋根材によって大きく異なり、10年から100年まで幅があります。
ご自宅の屋根材を把握し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことで、突然の雨漏りや高額な修理費用を避けることができるでしょう。台風後の目視点検や定期的な塗装メンテナンス、10年ごとの専門業者による点検を実施することが、屋根の寿命を延ばす鍵となります。
劣化のサインを見逃さず、早めに対処することで建物全体の耐久性を維持できますよ。
株式会社ハウスプランでは、屋根の点検やメンテナンスに関する無料相談を承っております。
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